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お知らせ NEWS

もしも自宅が火災に遭ってしまったら・・・ 現状、被害に遭われてしまっていたら。
建物はすぐに解体してはいけないません。
自宅が火事になってしまって大変な状況の中、はじめての作業に戸惑う方も多いと思います。
火災の発生現場というのは煤や有害物質が残されているため周辺環境、近隣住民へ迷惑をかけないためにも一日も早い対応が必要です。
しかし、火災にあってしまった建物を処理するためにはいくつかの手順を踏む 必要があります。
焦ってさまざまな手順を飛ばしていきなり自分でゴミを処理しようとしたり建物を解 体してたりしてしまうと、火災保険が適用にならなくなるなど困ったことが出てきてし まうのです。
そこでこの記事では、火災にあった建物の後始末の手続きと流れを紹介してい ます。
また、解体工事にかかる費用や安くする方法もあわせて紹介しています。安全に対処できるよう焦らず落ち着いてこの記事を参考にしてみてください。

1.消防署での罹災証明の取得

今後、さまざまな減免や援助を受けるためには、「罹災(りさい)証明書」の提示
が必要になります。 そのため、まず最初は消防署で罹災証明書を申請し、取得してください。
罹災証明書とは、消防署が火災があったことを証明するための書類であり、保険の手続きや減免申請等、後片付けの一連の手続きに必須の書類です。
罹災証明書がないと各種手続きが進まないため、何をおいてもまず最初に手 続きを行うことが重要です。
罹災証明書の申請は、消火活動に当たってくれた消防署へ出向き、所定の用紙に記入して提出するだけです。印鑑が必要なので忘れずに持参しましょう。 もし、本人や親族以外が申請する場合は委任状が必要です。
自宅がめちゃめちゃで、印鑑がどこにあるかわからない方もいらっしゃるかと思います。免許証や健康保険証などの本人確認ができるものがあれば、印鑑は免除してくれる場合もあるようです。
被災時は緊急事態ですので、揃わないからとあきらめずに、ぜひ一度、担当窓口に相談してみてください。

2.保険会社に連絡

火災保険に加入している場合は、保険金の請求をするために保険会社への連 絡を行います。ほとんどの会社で、インターネットもしくは電話から連絡が可能 です。
また、住宅ローンを組む際や賃貸契約時に、任意の火災保険に加入するケー スが一般的です。覚えていないという方も一度確認してみてください。
このとき罹災証明書が必要になるため、証明書取得のあとに保険会社に連 絡、という流れで進めるのがスムーズです。
その後、保険会社は火災にあった建物を確認し、被害の度合いや状況をもとに して保険金を算出します。

その為、建物を「すでに解体していて更地にしてしまった」という状態だと、保険 金が受け取れないということがあるので、くれぐれも手順は間違えないようにお 気をつけ下さい。
もし、罹災証明書の発行まで時間がかかりそうな場合は、先に保険会社へ連 絡して、今後の流れについて確認しておくと安心です。

3.ライフラインの停止

電気やガス、水道などといったライフラインも、当然火事で使えない状態になっ
ているため、契約会社に停止の連絡を入れます。
消防署に通報が入って消火活動が行われた場合は、通常はガス漏れによる爆 発を避けるため消防署からガス会社に連絡してくれる場合もありますが、その 場合も電気や水道、固定電話については自分で連絡しなくてはなりません。
意外と見逃しがちですが、もし停止していなければ、無駄に基本料金を払い続 けることになってしまったり、漏電やガス漏れによる事故などにつながったりす るおそれもあるので自分でも確認をしましょう。

4.焼け跡の確認・片付け・清掃など

火災が鎮火したら、消防署や保険会社などの現場調査を受けて焼け跡の確認 をします。その後、焼け跡に残った粗大ごみの処理を行いましょう。
なお、自治体によっては、事前の申請があれば火災現場の片付けに掛かる処 理手数料を免除してもらえる場合があるので、管轄の自治体の清掃課などに 問い合わせておきましょう。

5.近所の方への挨拶

近所へのお詫びは出来るだけ早くに行うと良いです。
火災後はさまざまな手続きで忙しく、気持ちも落ち込んでしまいお詫びどころで はないかもしれませんが、出来るだけ早くご近所さんへはお詫びを行いましょう。
特に今後もそこに住み続けるのであれば挨拶をしておくほうが無難です。
火災によって近隣の家や建物に被害が及んでしまった場合、放火などの故意や重大な過失でなければ、法律的には賠償責任は発生しません。

しかし、近隣の方も様々な損害や迷惑を被った可能性があるため、しっかりと対応をしておきましょう。
火災保険によっては、近隣の被害への保証もできるため、保険会社にその点も確認しておくと良いです。火災保険の中の「類焼損害補償」が使えるのであれば、きちんと補償もさせてもらいましょう。
いずれにしても誠意をもってお詫びの気持ちを示しておくことが重要です。 火災後、数週間経ってからお詫びに来られても相手は気分を害してしまいます。数日から遅くとも1週間以内にはお詫びに伺いましょう。

6.解体 工事業者への依頼

ここまでの手続きや処理を経てから、ようやく解体工事の依頼に進みます。
火災で建物が半焼、あるいは全焼してしまった場合は、解体業者に依頼して解体工事を行うことになります。
ちなみに、部分焼失やボヤの場合は解体業者ではなく特殊清掃業者へ依頼します。火災で発生した臭いも、特殊清掃業者であれば消臭が可能です。火事で燃えてしまった建物といっても、特に火災物件専門の解体業者というものが存在しているわけではないため、通常の解体工事と同様に解体業者へ依頼することになります。
業者によって、火災ごみ処理費用が違ったり、工事にかかる時間も違います。 そのため、複数の解体業者に見積もり依頼をしてみるのも良いでしょう。
もし、火災ゴミを処分していない状態であれば、解体業者にその処分を依頼することも可能です。
しかし、産業廃棄物としての処理になるため費用が高くついてしまいます。
燃え残った廃棄物は自分で処分すると処分費用が減免される制度を使えることもあります。その際も、一般の廃棄物としてではなくきちんと「火災ゴミ」として処分するように申請すればいいでしょう。
制度の違いもあるので、まずはお住まいの自治体に相談してみるようにしましょう。
解体工事に関連する手続きや処理、対応などで不明な点があれば、必ず質問してください。その際あいまいな回答をする業者であれば、依頼するのを考え直した方が良いです。焦っていても業者選びは慎重に行ってくださいね。

6.仮住まいの確保

火事で自宅が全焼したら、新たな自宅が完成するまで仮住まいで生活しなくてはいけません。
管轄の自治体に相談することで市営住宅に入居させてもらえることもあります。 市または区が運営する住宅です。周りの家賃の半額程度で借りられます。
通常、公営住宅の入所者は年収や職業等の入居資格を満たしている人たちで の抽選で決まります。しかし、火事で自宅が全焼した方は、入居資格を満たし ていなくても、優先的に入居できます。

7.各種証明書の再交付手続き

保険に関する証書や年金手帳、預金通帳、パスポートなど各種証明書については再交付の手続きが必要です。証明書ごとに受付の窓口は異なるので、必要に応じて担当窓口で確認しましょう。

<解体工事の費用について>

火災後の解体工事は、通常の解体工事よりも高額になるケースが多いです。
なぜかというと、解体後の廃材の処分費用が高くついてしまうからです。
通常、30坪2階建ての木造住宅の場合、解体工事費用は243〜400万円が相場目安です。
一方、火災にあった場合は、300万~500万円程度が解体工事費用の目安となり、通常よりも高くなります。
通常の解体工事であれば、解体後の木材を資源として利用できるのですが、 火災にあった建物の建材は再利用が不可能であるため、「ゴミ」としての処分費用がかかってしまいます。
また、自治体によっては分別について厳しいところもあるため、燃えた木材と燃えずに残った木材の分別に時間がかかり、その分人件費がかさむ場合もあります。

<解体工事費用を抑える方法>

先述したように、火災後の解体工事は、通常の解体工事よりも高額になるケースが多いです。
火災で家が燃えてしまい、解体工事まで高額になってしまうとなると、必要な工事と分かってはいても、とても精神的、経済的に苦しいですよね。
そこで、自治体の定めた補助金制度や減免制度を利用する事で、解体費用を抑える事が可能になります。
できるだけ解体費用を安く抑える方法について、いくつかご紹介します。

  • 自分でゴミを処分する

火事が起きてしまった家屋を解体する際に、廃棄物をそのままにしておくと、解体業者がまとめて処分してくれることになります。ただし、その場合は産業廃棄物扱いとなってしまい、処理費用が高くつきます。
そのため、解体工事の前には自身で廃棄物の処分を進めておくとよいです。この場合は業者が処分するのではないため、一般廃棄物として処理できるからです。

  • 減免制度を使う

さらに個人でゴミを処理する場合、自治体の「一般廃棄物処理費用減免制度」 を利用すると、処理にかかる費用を減免してもらうことが可能です。
自治体により条件は異なりますが、火災によって発生した廃棄物の処理費用を免除または減額してもらえます。
火事の規模によってどのくらいの廃棄物が出るかは違いますが、大量のゴミが発生した場合に限らず少量であっても、少しでも費用が安く抑えられるのはとて も助かるはずです。
ただし、解体工事業者に解体工事を依頼した場合は、一般住宅でも発生したゴミが産業廃棄物扱いになるため、注意が必要です。

  • 火災保険の利用

火災保険に加入している場合は、保険会社に連絡して手続きを行うことで、審 査が通れば保険金が支払われます。解体工事の費用として支払われるのは「損害保険金」です。
給付される保険金には、「損害保険金」と「臨時費用保険金」があり、「臨時費 用保険金」は、火災後の仮住まいとしてホテル滞在をする場合の費用や引っ越 し費用として支払われますが、臨時費用保険金を解体工事の費用に充てても 特に問題はないようです。
なお、保険金は火災の程度に応じて支払われるため、先述したように万が一火災保険が下りる前に解体工事を行ってしまうと、火災の程度が調査できないた め保険金が下りない場合があります。
必ず、火災保険の手続きを行ってから解体工事を始めるようにしてください。

  • 自治体からの補助金を受ける

罹災証明書によって受けられる補助制度には、「一般廃棄物処理費用減免制度」という火災ゴミの処分費用の減免などだけでなく、「災害見舞金制度」といって現金を支給してもらえる自治体もあります。
また、ほかにも火事のあとの生活を再建するための助けとなる「生活再建支援金」 というものが用意されていることもあります。お住まいの自治体の補助制度に、このように解体工事の費用にも充てられるような措置はあるのかどうかもしっかり確認し、利用させてもらうようにしましょう。自治体の補助を受けるには、いずれも罹災証明書が必要になります。

<火災処理業者の選び方>

火災後に解体工事や消臭工事を行う場合、どのような基準で業者を選んだらよいのでしょうか?
ひとまず解体して更地にするのが目的であれば、費用が安い業者に頼みたいと思うかもしれません。
しかし、安いからという理由で依頼した結果、追加費用が発生して最終的には高額になってしまったり、騒音や埃、煤(すす)の対策がしっかり行われず、ご近所とトラブルになってしまっては本末転倒ですよね。
解体業者は複数から見積もりをもらってください。
火事による解体工事に限らず、大きな工事をまかせる業者を選ぶ際には、一 社だけではなく必ず複数の業者から工事代金の見積をしてもらうようにすることが大事です。
見積によって工事代金に数万~数十万円の差が出るということは、珍しいことではありません。

一社だけでは、工事代金の金額だけでなく対応やサービスについてもほかと比 べることができず、さまざまな意味で損をしてしまうことも少なくないからです。
火事による精神的・肉体的ダメージが大きいなかで、解体業者を吟味すること は大変なことでしょうが、最低でも三社から見積を得ることをお勧めします。

  • 許認可を受けている業者を選ぶ

必ず、建設業や解体工事業の許認可を受けている業者を選んでください。中には許可を受けずに、無認可で営業している業者もあります。
許認可が必要な業務にもかかわらず無認可で営業している業者は、どれだけ良い言葉を並べていたとしても信用することはできません。
工事現場には、建設業の許可票や、解体工事業者登録票が必ず掲示されますが、無認可の場合はこの掲示ができません。
念のため契約の前に、担当者に許可証類を見せてもらえるようお願いしましょう。許可証類の提示を拒否する業者とは、契約しない方が自身のためです。

  • 火災消臭技術を持ち合わせている業者

部分焼やボヤなど火災の程度によっては、ふたたび生活できるように復旧工事を依頼することになります。
その場合、火災専門の清掃や消臭技術を持ち合わせている業者を選びましょ う。
煤(すす)の徹底的な清掃はもちろん、火事現場独特の臭いを取り去り、人体に影響がないレベルまでしっかり消臭してもらうことで、安心して再び生活して いくことができるからです。

  • 見積書や契約書が発行され追加費用が明確か

解体工事の契約前には見積書、契約時には契約書をきちんと発行する業者を選んでください。
また、見積書では安い金額を提示し、解体工事が終わった後に追加費用を突然伝えてくる業者がいます。
これを避けるためには、見積書を受け取った段階で、どのような場合にいくら追加費用がかかるのかを必ず確認しましょう。

追加費用に関してあやふやな返答をする業者と契約すると、費用についてトラブルになる可能性があります。
見積書や契約書の発行、追加費用の説明などがしっかりされているということは、それだけ信頼に値する業者と判断できます。

  • 解体工事をせずに売却する

その土地にこだわりがなければ火災後の家屋の跡地にもう住む予定はなく、解体工事をせずに住居の引越をして売却をしてしまうという方法で費用負担を安く抑えることが可能です。
この場合、火災保険の保険金をもらった上で、あとの処理を全て業者に任せることができるので、解体工事業者の手配から土地の売却など面倒な作業をする必要がありません。
また、解体工事費用も委託先の業者の負担になるため、実質的な費用負担なく問題を処理できます。火事が起きた家屋にはどちらにしても住み続けることはできず、仮住まいを得ているはずです。今後の住まいについても長期的な展望を考える際には、この選択肢も視野に入れて見ても良いでしょう。

<解体工事までの手順>

では、実際業者に依頼したら解体まで進めるにはどのような作業工程が含まれるのでしょうか。
一部内容が重複してしまっている部分もありますが。詳しく確認していきましょう。

  • 火災現場の状況の確認

まずは現場の確認。火災現場が戸建て住宅なのか集合住宅なのか。周辺の 住宅の状況、火災の規模、有害物質や有毒なガスなどの発生状況、燃え残っ ているものの状況などを確認します。

  • 火災ゴミの分別、梱包、搬出

火災現場に残されているものの多くは燃えていたり、熱で使い物にならなくなっていたり、消火活動の際の水でびしょ濡れになっていて使い物にならないものがほとんどです。しかし火災の状況によっては写真などの想い出の品、保険証 書や権利書、現金や預金通帳、印鑑など貴重な品も埋もれています。
また、火災で発生する廃棄物は市町村や都道府県などと協議しながら適切に分別し自治体によっては10品目程度に分類する必要があります。丁寧に分別することで廃棄物の処分量を削減することが可能で金銭的な負担を減らすこと ができます。

  • 解体作業

火災現場はキッチンの壁を焦がした程度のぼや火災から戸建て住宅で全焼に近いよう な状態の火災まで様々です。ぼや火災程度の場合は部分的な解体をリフォームすること を前提に必要部分を解体します。
損傷の大きな戸建て住宅の場合は、解体作業も必要となってきます。 整地にする作業も必要になります。

火災で自宅を解体しなくて済んだ場合

  • 煤の除去作業

ボヤ程度の火災の場合、火災現場の室内はあらゆるところが煤で汚れていま す。
ボヤ程度であっても煙とともに室内上部全体に煤が回ってしまい刷毛や綿棒を使って丁寧に煤を除去していく必要があります。煤の汚染状況によっては、解体してリフォームしたほうが費用負担が小さいケースもあります。

  • 特殊コーティング作業

少しの煙の場合でも、コンクリートの構造体の場合表面の煤を削り落としても臭気がコンクリートの壁や柱、梁にしみ込んでしまっているケースもよくあります。だからと言ってその部分を解体することは不可能ですので臭気を閉じ込めるために専用のコーティング剤を使用します。

  • 完全消臭作業

煤などの火災の臭いの原因を完全に取り除いたのちオゾン消臭器で完全に消 臭を行いダイオキシンの分解装置を使って室内環境を完全に回復させます。

  • リフォーム・リノベーション

室内が完全にもとの環境に戻ったことを確認したら内装の造作を行います。

最後に・・・

火事にあってしまったら、誰もが冷静でいることは難しいでしょう。ショックと混乱で、何から手を付けてよいのか分からなくなってしまうのが火災後です。
火災後は1日でも早く元の生活に戻りたい一心で焦ってしまったり手続きが多く面倒に思ってしまうかもしれませんが、そういう場合こそきちんとした手順を知っておき、ポイントを押さえて一連の手続きと処理を進めていくことが大事です。